【挑戦:NFLオーディション】私を励ましてくれた目から鱗の言葉とは? -The Audition-

20年前の20024月、オンワード樫山が所有していたアメリカンフット―ボールチームを離れた私は、念願のN F Lチアリーダーの登竜門であるオーディションを受けるため渡米しました。

その頃では数少ないチームのホームページの情報を片手に、滞在先である米国の首都であるワシントンDC近郊のB&Bに辿り着いたのでした。

当時の米国は2001年に発生した米国同時多発テロをきっかけに「テロとの戦い」に突き進んでいく一方で、国内的にはテロの傷跡が人々の心に深く残っていました。私が宿泊したB&Bは、3機目の飛行機が突っ込んだペンタゴン(国防総省)の近くにあり、テロで亡くした方なども多く滞在している施設でした。

B&Bオーナーのマリーは私がオーディションを受けることを話すと、何度もオーディションでのスピーチ練習に付き合ってくれました。CheerleaderというRLが隣同士にある、日本人にはとっても難しい単語を、私が正しく言えるのは、マリーによるスピーチ練習のおかげでもあります。

オーディション1週間前―。私はチアリーダーチームが行うトレーニングキャンプに参加しました。キャンプが行われるワシントンレッドスキンズ(現コマンダーズ)のホームスタジアムFedEx Fieldに向かうタクシーの中で、胸がドキドキだったことを覚えています。

自分にできるだろうか?
自分一人が浮くのではないか?

そんな不安を抱えながら、スタジアムの地下にあるチアリーダーのスタジオに入りました。

そこで待ち受けていたのは、先輩チアリーダーのある言葉でした。

「緊張しなくても大丈夫よ。絶対受かるくらいの気持ちでやらないと!」

常に失敗したときのことばかり考えていた私には目から鱗の言葉でした。

まさにチアリーダーにチアリング(応援)された瞬間でした。

NFLでは現役のチアリーダーでも毎年オーディションを受けないとならない厳しい世界です。他の人が選ばれれば、自分が落とされるかもしれないー。そんな思いを抱えながら、チアリーダーたちは日々練習しています。それでも、チアリーダーたちは競争相手に手を差し伸べる優しさがあることにまずびっくりしました。

トレーニングキャンプを終了すると、5日間の選考期間に入ります。1次審査で候補者の半分が減り、2次審査でそのまた半分になります。そこに前年のチアリーダーも加わり最終オーディションです。最終的に残るのは40人です。

合格を発表された瞬間、私は天にも昇る気持ちでした。

チアリーダーとして選ばれる人たちはどのような人なのでしょうか?

20年前にオーディションを受けた時にはドキドキだった私が、2015年から2018年にレッドスキンズのチアリーダーオーディションの審査員を務めました。現在も日本からオーディションを受けに行く女性のサポートをしています。

米国ではチアリーダーは一種の「名誉職」です。びっくりするかもしれませんが、固定給は支払われません。もちろん、イベントなどに出れば、時給は払われますが、それだけでは生活していきません。(当時)

従って当然、チアリーダーの条件は「職業を持っていて自立している」のが第一の条件です。

そして、自らをマネージし他者の見本になるようなリーダーシップが求められています。

事実、チアリーダーの仲間には弁護士や税理士、博士号を持っている研究者などもいました。彼女たちの話はまた後日お話したいと思います。

チアリーダーたちは、朝から夕方まで働き、夜7時から11時までは練習。まさにワークライフバランスを実践する生活です。

彼女たちは、自立しバランス感覚があり、心に余裕がある女性たちでした。

そして、心に余裕があるから互いに助け合うシスターフッドが生まれるー。

そんな彼女たちに助けられながら、私はNFLのチアリーダーとしての第一歩を踏み出したのでした。